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製品レビュー



越智隆治 TAKAJI OCHI

産経新聞写真報道局を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。ダイビング経験本数5000本以上。また、新聞社在籍当時から、ドルフィン・スイミング、伊豆半島・富戸漁港でのイルカ追い込み漁取材などを通じて、イルカと人の関係に興味を持ち、以後、御蔵島、ハワイ、フロリダ、パラオ、バハマ、オーストラリア、マーシャル諸島など国内外の多くの海でイルカの撮影を行っている。


1. MDX-7D +VF45 1.2x(45°ビューファインダー) + 100mmマクロ

2010年12月のヤップロケの期間中、初めてVF45 1.2x(45°ビューファインダー)を使い、MDX-7D + 100mmでマクロ撮影を行なった。
通常はストレートに被写体に対峙しているために、45度に慣れるまでは、かなり時間を要したが、鮮明に映し出される被写体をフォーカシンングできるから、ピンぼけ写真の確率は大幅に少なくなった。

浅瀬のうねりのある場所でのマクロ撮影の場合、今まではその微妙な揺れに堪えながらピント合わせした。合ってるのか、合ってないのか微妙で不安になることも多かった。
実際に、少し目からピンが外れて、悔しい思いを何度もしていた。
しかし、このファインダーのおかげで、撮影中でも確実に目にピンが来てることを確信してシャッターを押すことができた。

● 俯瞰マクロには最適。
最近、多くの人がマクロのバックに青い海を入れ込むアングルを好んで撮影していると思うけど、自分もそうした構図は好きな撮影方法の一つだ。
VF45 1.2xを装着したことで、無理の無い体勢での撮影が可能になり、撮影時に被写体の前で体勢を整えるためにジタバタする事が少なくなったことで、逃げられることも少なくなったように思える。
慣れるまでは、45度の角度に違和感を感じ、実際に被写体がいるところよりも、かなり上方部分にレンズを向けてしまっていた。
そういう場合でも、この写真のように、青く抜けたバックとサンゴの境を見つけ出すことは容易であり、この角度に慣れる練習にもなる。




●ちょっと愛嬌のある視線で
共生ハゼの撮影では、ほとんどの場合、上から見下ろす構図であったが、VF45 1.2xを使用することによって、写真のようにオドオドしていながら愛嬌のある表情を撮影することができた。
このときも、ファインダーを覗きながら、引っ込んだり顔を出したりしてるギンガハゼの様子を楽しみながら撮影していた。
表情をもう少しアップで撮影したかったので、もう少し接近したかった。けど、かなり臆病な奴だったので、これくらいの構図の方が臆病さも出ていて写真的には良い距離だったのかもしれない。




まだ、どれだけ、使いこなせるかはわからないが、上記した撮影などには、VF45 1.2xがより良い効果を発揮してくれたと思う。
もちろん、動き回る被写体などを追うには、この角度に慣れる必要があると感じるが、装着自体は自分で手軽にできるので、撮影する被写体やテーマが決まっているのであれば、その都度、装着したり外したりして撮影スタイルをかえることも可能だろう。


2. VF45 1.2x(45°ビューファインダー)で撮影したタイガーシャーク



バハマの北西にある、シャークフィーディングで人気のポイント、タイガービーチへ撮影に行った。ここでは、多くのレモンシャークの他、数匹のタイガーシャークが高確率で姿を見せることで有名なポイントだ。
潜る前は「man eater」のイメージから、ケージ無しで潜ることに一抹の不安を感じるかもしれない。しかし、それも最初の数分の事。そこに姿を見せるタイガーシャークの中の数匹には、スマイリー、エマなどの名前がつけられていて、何度も会う内に、親近感さえ感じはじめる。特徴もはっきりわかる個体もいて、今回は、毎日のようにスマイリーが姿を見せてくれた。

ガイドの指示を守り、しっかりルールを守って潜りさえすれば、水深5mのフラットな砂地でほとんど着底したままのダイビングになるため、考えようによっては、これほど安全で楽なダイビングは無いかもしれない。
より自分の近くにタイガーシャークが寄ってほしい場合、「追いかけるな」だけでなく、「目線を合わせない、タイガーシャークに興味が無いふりをする」と良いと、ガイドからのアドバイスがあった。
タイガーシャークは意外と繊細で、目線が合うと離れて行ってしまうというのだ。だから、追いかけたりしなければ向こうの方から遠のいて行ってくれる。しかし、もし近くで撮影したいのであれば、石のようにじっと動かず、目線をそらし、斜め目線で様子を伺うのがベストだと言う。そうすると、タイガーシャークの方が「あれは何かな?」と思い、近づいてくるのだそうだ。
トライしてみた。「目線をそらす」には、45度ビューファインダーはうってつけだと思い使用してみることにした。ストレートに覗くよりも、より目線をそらしているように見えるからだ。
半信半疑ではあったが、そのおかげ(?)か、タイガーは接近どころか、自分の撮影するハウジングに鼻先を接触させてきた。その流れで、グリップを握る僕の右手のグローブに、タイガーの歯が引っかかって、さすがに、思わず慌てて手を引っ込めた。すると、タイガーの方も驚いたのか、一瞬、瞬幕をとじて、白目になって、ちょっと慌てて僕の側から離れて行った。

45度ビューファインダーの使い道としては、あまり参考にならないリポートかもしれないが、サメ好きの多くはサメが出ると何を置いてもダッシュして行く人がいるが、本来サメはシャイで警戒心が強い生き物。
もし、本当に近くで見たいのであれば、やたら元気なイケイケダイバーよりも、シャイでもの静かなダイバーを「この人なら友達になってもいいかな~」と思って寄ってきてくれるのかもしれない。
まあ、それは冗談だけど、自分の経験から、生物を撮影する場合には目線をそらすこと、気を消すことなどした方が、より接近できる場合が多い。
個人的には、マクロ撮影にはVF45 1.2x。さらにワイド撮影向け(激しく動くイルカなどの大物を狙うためにも)にストレートファインダー開発を期待している。

撮影:Canon EOS 5D MarkII+16mm fisheye SEA&SEA Housing DX-5D Mark II + コンパクトドームポート+45度ビューファインダー+YS-110α x 2灯
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