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製品レビュー



鍵井靖章 YASUAKI KAGII

1971年兵庫県生まれ。大学在学中に水中写真家を志し写真家・伊藤勝敏氏に師事する。モルディブ、オースト ラリア、伊豆でのダイビングガイド業を経て、1998年独立。世界の海をフィールドに撮影を続けている。1998年にアニマ賞、2001年にドキュメント写真大賞ネイチャーフォト部門賞、2003年に日本写真協会新人賞をそれぞれ受賞している。


VF45 1.2xのレビュー

MDX-PRO 5D Mark II(Canon EOS 5D Mark II用ハウジング)にVF45 1.2x(45°ビューファインダー)を装着して撮影を行いました。レンズは15mmフィッシュアイレンズ、撮影地はコモド諸島、ポイントは北部のマンタポイントです。
最初覗いた時こそ若干の違和感を覚えましたが、自分は“新しい試み”を行っているという意識で、撮影に集中するようにしました。
流れがあったため、潮流に乗りながら、下手から次から次へと現れるマンタを撮影します。
まず新しいファインダーに慣れなくてはなりません。ファインダー内にいるマンタを覗きながら確認し、そのまま潮の流れに押されながらマンタに接近していきました。そのとき、普段よりもローアングルでファインダー内の景色が流れていきます。海底の流れが、まるでスターウォーズの宇宙船のような映像で、かなりドラマチックなファインダー内でした。まず、これで興奮しました(笑)。




私は腕を伸ばして、生き物に接近する方法で水中撮影を行います。今までは小さなファインダー内で範囲を“予測”しながら撮影していました。ファインダーは画家でいうキャンパスだと豪語していましたが、実は、デジタル1眼を使用し始めてから、少しないがしろにしていた部分がありました。フィルムカメラの頃は、ニコンF4にアクションファインダーを装着し、ほぼ100パーセントの視野率を確保して撮影していました。VF45 1.2x(45°ビューファインダー)を装着するということは、腕を伸ばして撮影するというスタイルは封印ですが、それと引き換えに100パーセントの視野率を久しぶりに体感することができました。
結果、大変素晴らしかったです。
自分がファインダー越しに見えている世界と、自分の作品が直結する手応えを感じながら撮影しました。4隅まで確認し、一枚一枚、大切に撮影することができました。最近では、正直「数打てば当たる」的な撮影もありましたが、それをしなくても自信をもって、撮影に望むことができました。

生き物との撮影距離ですが、これまでと違った感覚で撮影できたと思います。今回、クリーニングステーションでマンタを撮影したのですが、しっかりとファインダーを覗きながら接近しました。「自分の排気したエアをマンタが嫌うのでは? 距離を縮めることができないのでは? 」と思いましが、今回は、ある意味、成功したと思います。ファインダー内にマンタをしっかり確認して、マンタ以外の余白の部分が持つ“気配や緊張”を感じながら、心の整理をすることで、スムーズにマンタに接近することができたと思います。




そして、サンゴの豊かなポイントにも潜りました。
ここでもファインダーの四隅をしっかり確認して撮影を進めることができました。そのことで、サンゴ礁が持つ造形美などに細心の注意を払って撮影できたと思います。
とにかく、感じるのは「ファインダー越しに見えている世界と自分の作品が直結する手応え」なんです。
確かに、縦位置にするタイミングが1テンポ遅れてしまったり、また、慣れないうちはアイポイントに戸惑うこともあると思いますが、現時点では、これから私のワイド撮影には、VF45 1.2x(45°ビューファインダー)はなくてはならないものになりました。


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